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理化学研究所

田原分子分光研究室 Molecular Spectroscopy Laboratory

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生体膜モデル界面の水素結合構造の研究

生体膜モデル界面の水素結合構造の研究

ヘテロダイン検出振動和周波発生法を用いて生体膜のモデルである脂質/水界面や界面活性剤/水界面の水素結合構造を研究しています。スペクトルの符号から、この界面の水の配向は脂質や界面活性剤の親水基の電荷の符号によって決まることを見出しています。またスペクトルのピーク位置から、イオン性単分子膜界面近傍の水の水素結合の強さはバルクのそれと同程度であることを明らかにしています。さらにイオン性単分子膜と種々の塩を含む溶液の界面における水の構造とホフマイスター系列が良い相関を示すことも見出しました。
二本柳J. Mondal, Adhikari, Sartin

図1.ホフマイスター系列の概念図。図中のより左側にあるイオンほど、タンパク質を析出させ易く、逆に右側にあるイオンはタンパク質を溶解させる。

図2.我々の研究で示唆された界面構造。(上)正に帯電した界面。強く水和されるFは、界面に接触吸着しないが(左)、水和の弱いIは、水和水が容易にはずれて界面に接触吸着する(右)。(下)負に帯電した界面。陽イオンはいずれも界面に接触吸着しない。N(CH3)4+は、界面の水分子の水素結合を弱めないが(左)、Cs+、Li+、Mg2+は、界面水分子の水素結合を弱くする(右)。