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理化学研究所

田原分子分光研究室 Molecular Spectroscopy Laboratory

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一分子分光計測グループ

新しい一分子分光計測法の開発とそれを用いた生体分子系の複雑性の解明


石井 邦彦

一分子分光計測グループでは、一分子蛍光測定に基づく新しい分光計測法とデータ解析法の開発を行っています。我々が独自に開発した手法を駆使して、タンパク質・核酸・脂質膜などの生体分子系の複雑な振舞いを研究しています。レーザー分光実験・生物物理化学・統計データ解析によるアプローチを統合して、分子科学の新しい領域を開拓することを目指します。

研究概要

タンパク質や核酸などの生体高分子や脂質膜などの生体分子集合体は、多数の原子から構成されているため構造の自由度が非常に高く、室温溶液中で様々に構造を変化させることができます。このような複雑生体分子系の構造には階層性があり、それに伴って構造変化の典型的な時間スケールも階層ごとに異なっています。この階層性が小分子には見られない構造の多様性・不均一性やダイナミクスの複雑性を生み、さらにその分子系がもつ機能に密接に関わっていると考えられます。
複雑生体分子系の構造不均一性と自発的な構造ダイナミクスを実験的に調べるためには、多数の分子の応答を平均して観測する代わりに、分子一つ一つを区別して分光計測する方法が有効です。ところが一分子が発する分光シグナルは極めて微弱なため、この方法で得られた生の分光計測データを通して分子の挙動について詳細に知ることは簡単ではありません。私たちは一分子蛍光測定を基盤として、情報量を増やした新しい実験手法と、一分子蛍光シグナルに埋もれた情報を抽出するデータ解析手法の開発を進めています。そして私たちが独自に開発した手法を用いて、生体分子系の複雑な振舞いを解き明かしていきたいと考えています。

研究項目

蛍光寿命の揺らぎを観る新しい蛍光相関分光法の開発

フェムト秒・ピコ秒時間分解蛍光分光法によるタンパク質側鎖の運動と水和ダイナミクスの研究(共同研究)

二次元蛍光寿命相関分光法によるマイクロ秒分解能でのタンパク質の折り畳み過程の研究

メンバー

石井 邦彦(グループリーダー)

坂口 美幸

Bidyut Sarkar

Wooseok Heo

主な発表論文

  1. T. Otosu; K. Ishii; H. Oikawa; M. Arai; S. Takahashi; T. Tahara
    Highly heterogeneous nature of the native and unfolded states of the B domain of protein A revealed by two-dimensional fluorescence lifetime correlation spectroscopy
    J. Phys. Chem. B 121, 5463-5473 (2017).
  2. T. Otosu; K. Ishii; T. Tahara
    Microsecond protein dynamics observed at the single molecule level
    Nat. Commun. 6, 7685 (2015).
  3. K. Ishii; T. Otosu; T. Tahara
    Lifetime-weighted FCS and 2D FLCS: Advanced application of time-tagged TCSPC
    In: P. Kapusta, M. Wahl, R. Erdmann (eds), Advanced Photon Counting. Springer Series on Fluorescence (Methods and Applications), 15, Springer, Cham, 111-128 (2014).
  4. K. Ishii; T. Tahara
    Two-dimensional fluorescence lifetime correlation spectroscopy. 2. Application
    J. Phys. Chem. B 117, 11423-11432 (2013).
  5. K. Ishii; T. Tahara
    Two-dimensional fluorescence lifetime correlation spectroscopy. 1. Principle
    J. Phys. Chem. B 117, 11414-11422 (2013).